GEKIHENのルーツは、「ちばわん」にある?

GEKIHENが生まれたのは、2015年に私が犬と暮らし始めたことがきっかけです。当初は、犬を飼うならばシベリアンハスキーのようなカッコイイ犬がいいな、という漠然とした希望がありましたが、いざ妻とともにネットで調べたり、知人に相談していくうちに、「保護犬を家族として迎え入れる」という方法に二人の意見が一致しました。その背景には、子供の頃から保護犬を家族に迎えて暮らしてきた妻と当時の愛犬の存在がありました。
そうした流れから保護犬を探し始め、インターネットで偶然見つけた犬猫保護団体が「ちばわん」でした。
ちばわんは、犬猫の殺処分削減のために活動している非営利団体です。
活動は全てボランティアによって行われており、犬猫の不妊・去勢手術の普及・推進活動や、主に動物愛護センターに収容された犬猫を保護し、新しい家族とご縁を結ぶため、ホームページに保護犬や保護猫の写真や情報を掲載したり、譲渡会を開催し、引き取ってくれる家族を募集しています。
募集を見て気になった子とお見合いをし、フィーリングが合えば家族として迎え入れることができます。
私たちもそのお見合いに参加し、出会ったのが愛犬シェピです。

ちばわんのホームページ (http://chibawan.net)

我が家が劇変した、「ちばわん」との出会い

彼が家族の一員となった日から、まさに我が家の暮らしは劇変しました。新しいことを覚えたり、苦手な物を克服したり、家族みんなで一つずつ課題をクリアしていくことが日々の大きな喜びでした。彼がいることで毎日の生活がより豊かなものへと変化していきました。さらに私たち夫婦の仕事にも影響を与え、私は犬猫に携わるイベント企画やデザインの仕事を増やし、妻はプロのドッグインストラクターを目指し、晴れて今年その資格を得ることができました。
ちばわんでシェピと出会っていなければ、また違った人生になっていたはずです。
もちろん、GEKIHENも生まれていなかったでしょう。

出会いからあっという間に月日は流れ、当時仔犬として迎え入れたシェピも4歳になりました。おかげさまで我が家は変わらず毎日幸せに暮らしています。そこで今回GEKIHENでは、ちばわんの活動を多くの方に知っていただき、シェピのように幸せを掴んでくれる犬猫が少しでも増えるようにとお手伝いさせていただくことになりました。当時シェピを保護したボランティアさんのご紹介で、ちばわん広報担当である阿部敏明さんにお話をお伺いする機会をいただきました。阿部さんは現在グラフィックデザイナーとして活動する傍ら、ボランティアとしてちばわんの広報活動に携わっていらっしゃいます。またご自身も、2匹の保護犬を家族として迎え暮らしております。
今回は、インタビュー前編として、主に「ちばわんの活動」についてお伺いしたいと思います。

犬猫と家族の架け橋となる「ちばわん」

阿部敏明さん(ちばわん広報担当)と愛犬カプアさん

(GEKIHEN:以下「G」)
はじめまして。GEKIHENの上原です。
本日はどうぞよろしくお願いします。

(ちばわん阿部さん:以下「ち」)
ちばわんの阿部です。よろしくお願いします。


G:早速ですが、「ちばわん」についてお聞かせください。ちばわんはどのような背景で生まれたのでしょうか?

ち:2002年初頭に、ある多頭飼育現場に放置された100頭ほどの犬猫を救うため、4名のボランティア団体として結成されました。徐々にメンバーが増え、現在200名ほどのメンバーが関東一円で活動を行っています。
この18年間で、ちばわんが保護し新しい家族に譲渡した犬猫は7,000頭を超えます。

G:ちばわん創設からすでに18年経っているんですね。
7,000頭以上の命が救われてきたと思うと、いかに積極的に保護活動をされてきたのかうかがえます。阿部さんご自身はどんなきっかけで、ちばわんと出会われたのでしょうか?

ち:2005年に愛犬を亡くしまして、半年後、再び犬と暮らそうと決意しました。ある珍しい犬種のブリーダーさんと連絡を取って子犬との出会いを希望しましたが、なかなか縁がありませんでした。
その後、撮影の仕事でとても賢い雑種犬と会う機会があり。どこで雑種犬と出会えるのだろう?とインターネットで調べ「里親制度」があることを知りました。
保護犬保護猫掲示版で情報を得て、数頭の保護犬とお見合いをしましたが、3度目のお見合いで出会ったのが、我が家の「アンジェロ」です。そして、アンジェロを預かっていたボランティアさんが、ちばわんのメンバーでした。
アンジェロが家族になってから、元預かりボランティアさんが参加するちばわんの保護犬保護猫の譲渡会へ応援に通うようになりました。
そこでメンバーたちと知り合い、譲渡会のポスター制作を依頼されるようになり、自然とちばわんのメンバーになりました。二頭目の「カプア」も、ちばわんから迎えました。

愛犬アンジェロさん

本当に犬猫の幸せを願った出会いの場作り

G:阿部さんご自身も初めから保護犬を飼おうとしていたわけではなく、ご縁あって保護犬を引き取られたのですね。
アンジェロさん、カプアさんを見ていると、阿部さんに信頼を寄せているのを感じます。
これまでちばわんはどのような活動をされてきたのでしょうか。
活動内容について、詳しくおうかがいさせてください。

ち:当初ちばわんの活動は、多頭飼育現場のレスキューや、捨て犬の保護活動などでした。2008年に千葉県動物愛護センターの登録ボランティア譲渡制度の認可を受けて、現在は主に、動物愛護センターの犬猫の引き出しと再譲渡活動を行っております。
猫については、横浜市動物愛護センターからの引き出しも行っています。
ちばわんはシェルターを持っていません。すべての犬猫は預かりボランティアさんたちの自宅で保護されます。医療処置や、お散歩馴れ、人馴れ、トイレトレーニングなどのしつけを受けながら、新しい家族との出会いを待っています。
センターから預かり家庭への犬猫の運搬や、動物病院への通院、卒業の際のお届けなどは、運搬ボランティアが担当することが多いので、遠方の預かりさんも活動が可能です。
2011年より「NPO法人犬猫みなしご救援隊」と協働で、全国で「TNR」と呼ばれる活動も行なっています。これは、飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施し、地域猫として可愛がってもらう活動で、現在は、毎年2,000頭以上の犬猫の手術をしています。

G:「犬猫の命を助けたい」という強い思いによって全て運営されているのですね。預かりボランティアは、ご家族の協力無くしてできることではなく、その方々の数も含めるとじつに多くの人々の支えがあって成り立っていることが分かりました。ちばわんでは、いぬ親会・ねこ親会を頻繁に開催されていますが、どういった会でしょうか?

ち:いぬ親会・ねこ親会とは、保護犬・保護猫の譲渡会です。
ちばわんでは保護犬を迎えてくださったご家族をいぬ親さん、保護猫を迎えてくださったご家族をねこ親さんと呼ばせていただいてます。会場で一度にたくさんの犬猫と会って頂くことで、譲渡希望家庭にふさわしい犬猫を探してもらうことができ、お見合いも行っています。犬についてはお散歩体験も可能です。
多くの会場では、犬猫グッズなどを販売するチャリティーフリマも同時開催していて、その売上は保護犬猫たちの医療費として大切に使わせて頂いています。
現在、定期的に開催中のいぬ親会・ねこ親会は首都圏一円で20会場ほどあり、ほぼ毎週末、首都圏のどこかで開催します。同じ日に複数の会場で開催されることも増えました。


G:単に保護犬・保護猫を譲渡するのではない、本当に犬猫の幸せを願った出会いの場を作っていらっしゃるんですね。私も愛犬を迎え入れるときに、預かりボランティアさんが仰っていた言葉が強く印象に残っています。

「殺処分ゼロ」を目指して

G:ちばわん創設当初と現在では、保護犬・保護猫に関する世の中の状況はどのように変わりましたか?

ち:環境省の統計資料によると、ちばわん創設当時の2002年度に、犬が約19万3千頭、猫が約26万7千頭、合計約46万頭の犬猫が行政により殺処分されました。
当時のセンターは常に犬猫であふれ、収容環境も悪く、犬猫保護ボランティアはできるだけ多くの犬猫を救いたいと願いながら、泣く泣く命の選択をして引き出すという状況でした。
現在に至るまで犬猫の殺処分問題がより世間に知られるようになるにつれて、動物愛護法の改正など政治や行政における変化があり、猫のTNR活動も浸透してきました。
最新の平成30年度の資料では、統計上、殺処分数は犬が約8千頭、猫が約3万頭、合計約3万8千頭と、ちばわん創設時の10分の1以下まで減りました。
しかし、今も自己都合で動物愛護センターに犬猫を持ち込む飼い主はいますし、多頭飼育の崩壊や、「パピーミル」と呼ばれる子犬工場で繁殖犬を酷使して、大量に子犬を繁殖させる悪質ブリーダーもいます。犬猫たちを取り巻く環境は厳しいままです。
動物愛護センターでは殺処分数は減りましたが、老犬、老猫や、病気に罹っていたり、大怪我を負った犬猫の収容割合が増えています。残念ながら一般譲渡数は増えておらず、殺処分ゼロへの道筋はまだ不透明です。

G:こうして数字として現状をお伺いすると、犬猫の殺処分問題は、決して見過ごしてはいけないということを改めて感じます。
2002年からこの問題に取り組み、ボランティア団体として活動してきたちばわん。阿部さんはじめ、所属しているボランティアの方々の尽力や、殺処分問題に対する世間の認知度が向上したことで救われる命が着実に増えています。
私たち、株式会社artLargeも「殺処分ゼロ」という未来を実現できるよう、GEKIHENを通して売上の一部を寄付させていただくなど、積極的に活動を支援させていただきます。

次回の後編では、いちクリエイターとして保護活動に携わってこられた阿部さんに「クリエイターとして、できること」をテーマにお話しをお伺いさせていただきます。

文・取材:上原裕司 (GEKIHEN代表)

阿部敏明さん
1961年9月25日生まれ。東京都出身。
グラフィックデザイナー・アートディレクター。
犬猫保護団体ちばわんの活動に出会い、自分の経歴を活か せるボランティアとして、ちばわん広報の仕事を活動中。都内でアンジェロさん・カプアさんと共に暮らしている。

ちばわんホームページ
http://chibawan.net

阿部さんのブログ
アンジェロ・カプアの日常ブログ「カプアン通信」